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* 8「自分で動けよ」 *

「このオレが、このオレがまたカスに…くっ!!」
『YOU LOSE』と負けを宣告する携帯ゲーム機を持つザンザスの手がわなわなと震える。
「ゔお゙ぉい!! これで十回目だぜぇ、ザンザス。いい加減負けを認めてシールよこせぇ!!」
「うるせぇ、このドカスが! ガキじゃあるめーし、シール一つでギャーギャー騒ぐな!!」
ドゴッ!!
鈍い音と共に本日十一回目の踵落としがスクアーロの脳天に炸裂した。

事の始まりは数時間前。
久々のオフだがこれといってやる事もなく、始めは銃の手入れをしながら一人過ごしていたザンザスだったが、このまま退屈な時間を過ごすくらいなら誰かを自分の暇潰しに付き合わせようと、まずスクアーロの部屋を訪れた。
だがスクアーロはザンザスが部屋に入ってきた事にも気付かず、日本製の携帯ゲーム機に夢中になっている。
「カス鮫、ゲームしてるくらい暇ならちょっと付き合え」
「クソッ、こいつなかなかやるじゃねぇかぁ。オレの攻撃をかわすとは見事だぁ!!」
「おい…無視してんじゃねぇぞカス」
「ゔおっ! や、やべぇ、必殺技食らっちまうところだったぜぇ」
「テメーはこれでも食らえ、このドカスが!!」
「ぐぁっ!?」
自分の気配にも気付かずゲームに没頭するスクアーロにカチンときたザンザスは、その後頭部に渾身の踵落としを食らわせた。
「い゛ってぇ…って、ザ、ザンザス!? いつ入ってきたんだぁ? ノックなら頭じゃなくてドアにしろぉ!」
「うるせぇ、カスが。ノックなんてしなくてもオレが来たらさっさと気付け」
忌々しそうに舌打ちし、頭を擦りながら振り向いたスクアーロの左手を蹴り携帯ゲーム機を弾き飛ばす。
「大体テメー、今までそんなモンに触った事もなかったじゃねぇか。そんなガキのおもちゃに夢中になるなんて、どういう風の吹き回しだ?」
遊びと言えばポーカーなどのカードゲームを好んでいたスクアーロがそこまで夢中になる理由がふと気になり、問うてみる。
「……ベルがよぉ」
理由を問われ、始めは言い難そうに口籠もっていたスクアーロだったが、これ以上ザンザスの機嫌を損ねるのは得策ではないと思い、目線を逸らしながらボソボソと語り始めた。
「同じ面子でカードやんのは飽きたとか言ってなぁ、この前任務で日本に出かけた時にハードとソフト何種類か買ってきたんだと。オレも最初はガキにはカードよりおもちゃの方がお似合いだと思って興味持たなかったんだが、対戦格闘ゲームで勝負しようって言われてな、売られた勝負は買わなきゃなぁ。喜んで受けて立ったんだぁ。そしたらよぉ…ボロ負けしちまったぁ」
敗北した時の屈辱を思い出したのか、スクアーロはギリ、と奥歯を噛み締める。
「ゲーム機弄んのは生まれて初めてだったからなぁ、慣れれば勝てると思ったんだぁ。でもよぉ、その後何回やっても一度も勝てなかったぜぇ」
「たかがゲームに何熱くなってんだ、くだらねぇ」
「ゲームと言えども勝負は勝負だぁ! 負けっぱなしなのは我慢ならねぇ。だからベルにゲーム借りて練習してたんだぁ。おかげでかなり上達したぜ。次に勝負する時は必ずオレが勝ぁつ!!」
「……そこまでゲームに熱くなれるのが理解出来ねぇな」
スクアーロが負けず嫌いなのはよく知っていたがここまでとは思わず、ザンザスは呆れて溜息を吐いた。
「これもベルが買ってきたのか?」
スクアーロの傍らに雑誌が置かれているのに気付き、それを拾い上げてパラパラと捲ってみる。
日本のゲーム雑誌のようだ。
「ああ、それかぁ? それはオレが日本から取り寄せたんだぁ。ベルにコツを聞くのは癪だからなぁ」
「ゲームで勝つためにそこまでするか…本当にカスだな」
頭を抱えそうになるが、雑誌の真ん中あたりにある銀色のシールがふと目に止まり、思わず見入ってしまう。
「さっきからゲーム、ゲームと馬鹿にしてるがなぁ、結構奥が深いんだぜぇ。ガキのおもちゃだと馬鹿にして、尚且つ勝てなかった自分をかっ捌いてやりてぇくれぇだぁ! そういうお前こそ、興味持ち始めたんじゃねぇのかぁ?」
雑誌を捲るザンザスの手が止まり、ある一箇所をじっと見ているのに気付いたスクアーロは身を乗り出しその手元を覗き込んだ。
「ん゛ん? このシールが気に入ったのかぁ? これこそが今オレがやってるゲームのキャラシールなんだぜぇ」
「ほう…」
目に止まったのはゲームに興味を持ったからではなく、自分やスクアーロ、他のヴァリアー幹部によく似たキャラがそこに描かれていたからなのだが、今スクアーロが夢中になっているゲームのキャラだと言われるとほんの少しだがゲームそのものにも興味が湧いてくる。
「そういやお前、今日オフなんだろぉ? 暇ならいっぺんやってみるかぁ?」
「くだらん…そんなガキの遊びをするくらいなら昼寝でもしていた方がマシだ」
僅かに興味が湧いたものの、それでも未だ『ゲーム機はガキのおもちゃ』だという認識は消えず、暇潰しのためにこの部屋を訪れたという当初の目的も忘れてつまらなさそうに雑誌をスクアーロに向けて放り投げる。
ザンザスは自分では意識していないが、自分の気配に気付かぬほどスクアーロがゲームに夢中になっていた事に嫉妬の念を抱いていた。
それも手伝ってか、スクアーロの誘いに素直に乗る気にはなれなかった。
「そうかぁ、さすがのボスさんもゲームでは勝てないと見たかぁ? まぁ、お前はこういうのは苦手そうだからなぁ。無理にとは言わねぇ」
「何…だと?」
本当に昼寝でもしてやろうかと部屋を出て行きかけたザンザスの足がピタリと止まる。
「ゔっ…だ、だからよぉ、操作法覚えたり細かい事すんのはお前の性に合わないと思ったんだぁ」
自分の傍らに戻って来たザンザスの怒りのオーラに気圧されながら、スクアーロは余計な事を言ったと内心焦りながらフォローになっていないフォローを入れる。
「貸せ!」
「あ゛ぁ?」
「オレがガキのおもちゃ一つ使いこなせないとでも思ってんのか? ゲームくらいどうってことねぇ! そこまで言うならやってやるよ、勝負だカス」
「マ、マジかぁ!?」
こうなったらもうザンザスの気の済むようにやらせるしか落ち着かせる術はないと、反論するのを諦めたスクアーロは余計な事を言った自分を呪いつつ、自分が愛用している物とは別の、ベルが置いていった携帯ゲーム機をザンザスに手渡した。
「ソフトはもうセットされてるから電源入れるだけでいいぞぉ。それと…これが説明書だぁ」
「いらねぇ、さっさと始めるぞ」
「ゔお゙ぉい!! いくらボスさんでも説明書読まなきゃ何が何だかさっぱり分からねぇだろうが!!」
「はぁ? ガキのおもちゃ如き、説明書なんぞ読まなくても適当にやってりゃ何とかなる」
「オレも最初はそう思ってたが、その油断でベルにボロ負けしたんだぞぉ! 悪い事は言わねぇから読んどけ! 説明書読むのは恥じゃないぜぇ」
「うるせぇよ、さっさと始めろ。こっちはもう電源入れたぞ」
「……どうなっても知らねぇからな? 後でキレんじゃねぇぞぉ!?」
そう念を押すが、結果は見えている。
もう一発踵落としを食らう覚悟を決め、スクアーロはスタートボタンを押した。

スクアーロの予想通り、最初の一回目のザンザスのプレイはほぼ棒立ち状態で、時折前後に動いたり、無意味なジャンプや攻撃を繰り返すだけの体のいいサンドバック状態だった。
こんな状態のザンザスに攻撃するのは躊躇われたが、自分も適当にキャラを動かすだけで何もせずにいると、「ナメてんのか?」「手ぇ抜いてんじゃねぇ!」と罵声を浴びせてくるので仕方なく通常攻撃のみで勝負を終わらせた。
「あり得ねぇ…オレがカスに負けるなんてあり得ねぇ!!」
ゴスッ!!
「ゔっ!!」
勝負がついた瞬間も何が何だかさっぱり分かっていなかったが、自分が負けたと知るやいなやザンザスはスクアーロの脳天に踵を振り落としてくる。
「もう一回、もう一回だカス鮫! 今のは何かの間違いだ。次こそは勝つ!!」
「ならせめて説明書くらい読めぇ! 話にならねぇぞぉ!!」
「うるせぇ! 必要ねぇって言ってんだろうが!! そんな大口叩けるのも今のうちだぞ?」
こうなるともう手のつけられないただの駄々っ子だ。
だが、話を振ってしまったのは他ならぬ自分だし、本格的に居座るつもりかザンザスは自分用の椅子と飲み物まで勝手に用意し始めている。
スクアーロは諦めの溜息を盛大に吐くと、ザンザスが自分に勝てるようになる頃には後頭部が陥没しているのではないかと不安に思いつつ勝負を再開した。

手加減がバレぬよう、スクアーロが自キャラの動きを巧妙に調節しつつ数回勝負を重ねると、ザンザスは感覚が掴めてきたのか基本操作だけはこなせるようになっていた。
ザンザスが椅子に腰掛け、その足元にスクアーロが腰を下ろしている状態なので、プレイ中のスクアーロの手元が視界に入るのが功を奏したのか、必殺技も出せるようになった。
それでもまともに操作が出来るようになったというだけで、ベルに勝つ為練習していたスクアーロの相手にはならず、今に至る。

「大体なぁ、そのシールはオレが買った雑誌についてた付録だぞぉ! それを勝手に賭けの対象にしやがって!!」
部屋を訪れたザンザスに気付かなかった時の一発+これまでの勝負で勝利する度食らった十発分、計十一発の踵落としを受けた後頭部をさすりながらスクアーロはザンザスに噛み付いた。
シールを賭け始めたのは五回ほど勝負を終えた後で、まだ操作もロクに出来ずにいるザンザスが「どうも調子が出ねぇのは何も賭けていないからだ」と言い出し、勝負を始める前に目についたゲーム雑誌のシールを勝手にベリベリと剥がしその手中に収めてしまったのだ。
「言ったろ? どうも調子が出ねぇのは何も賭けていなかったからだと。リスクのない勝負なんざつまらん」
「ゔお゙ぉい!! 調子が出る出ねぇの前にお前ビギナーだろうがぁ! その証拠に、賭けを始めた後もずっとオレが勝ってるぞぉ。いい加減自分がビギナーだって事と負けた事を認めてシールよこせ! いや、返せぇ!!」
「うるせぇ! もう一回だ、カス。さっさと勝負の準備しろ」
ザンザスもスクアーロも本当はシールになぞ執着心はなかったし、大の大人がシール一つで口論するなど、頭の片隅では馬鹿馬鹿しいと思っていた。
だが、もう二人の中では『シール=勝者の証』となっていて、己の負けを認めたくないザンザスはごねてシールを手離さず、一方スクアーロは例え相手がザンザスといえども勝負は勝負、勝者の証は勝者である自分の手にあるべきと、お互い一歩も引かず睨み合っている。
自分が折れてザンザスに気付かれぬよう上手く負ければ話は丸く収まるのだろうが、本当は出来る事なら手加減もしたくはなかったし、ワザと負けるなど、ザンザスも自分も納得いかないような終止符を打ちたくはない。
そんな思いもあり、スクアーロは頑として引き下がらなかった。
スクアーロのこういうところが他の幹部メンバーと比べて不器用で、ベルやマーモンには「もっと要領よく生きればいいのに」と思われていたりするが、この不器用さがザンザスを惹きつけているのだろう。
それ以上にザンザスは不器用で、スクアーロに惹かれている自分の気持ちを素直に認められずついキツい態度をとってしまい、いつもこんな殺伐とした雰囲気にしてしまう。
今もスクアーロの考えている事には気付いていたがどうにも己の負けを認める事が出来ず、シールをよこせと詰め寄られ、まるで独占欲の強い子供のようにサッとシールを自分の背の後ろに隠してしまった。
「お前がそういう態度ならゲームはもう止めだぁ! これ以上やったら本当にオレの頭が陥没しちまう。シール、返してもらうぜぇ!」
ゲームでの勝負はゲームできっちりつけたかったと内心溜息をつきつつ、スクアーロはザンザスの背の後ろに右手を伸ばした。
しかし、スクアーロが手を伸ばすよりも先に動きを察知したザンザスは背の後ろでシールを左手から右手に持ち替え、すんでのところで死守する。
不意打ちを外したスクアーロはチッと舌打ちすると同時にザンザスの左手首を掴み、同じ手を二度使わせぬよう封じてから素早く左手を繰り出した。
「クソッ!」
飛び掛かってくるスクアーロに対し、椅子に腰を下ろした状態で左手を封じられたのではこちらが不利だと悟ったのか、ザンザスは忌々しげに唸るとシールを人差し指でピッと遠くに弾き飛ばした。
「あ゛ぁっ!」
ザンザスの右手から弾き飛ばされたシールに標的を変え、身を乗り出して腕を伸ばすも間に合わず、シールは数十センチ先の床にヒラリと落ちる。
「てめぇ! 何て事しやが…ゔお゛っ!?」
「ん?」
シールの攻防に夢中でたった今まで気付かなかったが、スクアーロは膝を跨ぐようにしてザンザスの上に乗り上げていた。
弾き飛ばされたシールをキャッチしようと身を乗り出した事で上半身も密着しており、文句を言おうとしたところであまりにも近すぎるザンザスの顔に我に返ったのだ。
「すまねぇ! 今降りるぞぉ…」
真っ赤になって視線を逸らすスクアーロにザンザスも今の状態に気付き、もぞもぞと離れようとするその細い腰をガシッと両手で掴んだ。
「な、何だぁ? 掴まれてたら降りれねぇぞぉ?」
嫌な予感がして恐る恐るザンザスを見ると、何か企んでそうな笑いを浮かべている。
「いや、オレも少し大人げ無かったと思ってな」
「少しだぁ!? それにそのニヤついた笑いと棒読み口調はなんだぁ! 本当に大人げ無かったと思ってんのかぁ!?」
「何だと?」
「ゔっ…だ、だってよぉ…」
ザンザスにギロ、と睨まれ、さっきまでの威勢は何処に行ったのか、スクアーロは慌てて手の平で口を押さえると下を向いてもごもごと口籠もる。
「まぁいい。とにかくお前の言う事も最もだと思ってな。練習する事にした。付き合え」
「ひっ!?」
ザンザスの言葉と同時に腰を掴んでいた手がそのまま腋の下までス、ス、スとスライドしてきて、両親指が胸の突起をギュッと押し潰した。
「ゲームスタートだ、カス」
そう言ってニヤリと笑うと、ザンザスはスクアーロの左右の突起を十字キーとボタンに見立てて親指でグリグリと押し回し始めた。
「ちょ、や、止めっ…」
まったくその気になっていなかったところに不意打ちを食らい、快楽に敏感なスクアーロは突起に与えられる刺激に抵抗する事も忘れ、されるがままに身悶える。
「十字キーを同じ方向に二回連続で押すとダッシュ、弱攻撃は連打することでコンボ技も出せる…と」
スクアーロがサイドテーブルに置いてくれたのに対戦中は見向きもしなかった説明書を片手でパラパラと捲りつつ内容を頭に入れ、すぐ手を元に戻し今読んだ内容を突起で反復してみる。
「い゛…あ、はぁっ…くぅっ」
右の突起は上下左右に忙しなく動くのに対し、左の突起は強弱はあるもののただ押されるだけで、ザンザスとのセックスで激しい刺激に慣れてしまっているスクアーロには左側の刺激が物足りなく感じてしまう。
(高橋名人みてぇに一秒間に十六連打してくれたら…)
そんな考えが頭を過ぎるが、十六回とまではいかなくとも固い指の腹で何度も連打されているうちに左の突起も右の突起と同じくらいに硬度を増していき、白いシャツにポツンと形が浮き出るほどになっていた。
「おっと…下画面も疎かにしたらいけねぇな」
ザンザスはスクアーロのシャツに浮かぶ二つの突起を指でこねくり回しながら、下半身に視線を向ける。
つられてスクアーロも視線を落とすと、そこは服の上からでもはっきりと形が分かるくらいに張り詰めていた。
(こいつのも、こんなに…)
張り詰めているのはスクアーロだけでなく、涼しい顔で愛撫を続けるザンザスもだった。
張り詰めた二つの黒い山が隣り合うのを見て更なる興奮を覚えたスクアーロは、無意識の内に自らの昂ぶりをザンザスのそれに擦り付けようと腰を前に突き出した。
「この淫乱鮫が。自分から動いてんじゃねぇよ」
「ゔぁ!」
快楽に乱れる姿を見るのは悪くないが勝手をされるのは気に食わなかったのか、ザンザスはすっかりスイッチが入ってしまい熱い息を吐きながら腰を揺らめかせるスクアーロの昂ぶりを握り込んでその動きを静止させる。
「まだ練習中だ…ああ、そうか。下画面の使い方を教えようとしてくれてたのか。そりゃ悪い事をした」
「や…違、あ゛ぁっ…」
ギリギリと痛いくらいに昂ぶりを握られ、スクアーロの全身が痛みと刺激に震えた。
「いろいろやってるとフレイムゲージってのが溜まって、必殺技が出せるようになるんだったな。どんだけ溜まってるか、見せてみろ」
「なっ…こんな時ばっかりズリぃぞぉ! 練習中って言うならお前のその手で確かめてみろぉ!!」
このままいつものように抱いてもらえるのかと思いきや、目の前で自ら恥ずかしい部分を晒すよう命じられ、淡い期待は脆くも崩れ去り、スクアーロは羞恥に耳まで真っ赤にしてザンザスを怒鳴りつけた。
怒りと羞恥で激情するスクアーロに対し、ザンザスは眉一つ動かさず頬に手をつき、ただただ冷淡にスクアーロを見つめているだけだった。
「……クソッ!」
(こういう時オレが逆らえないのを知ってて弱みにつけ込みやがって!)
最後の言葉は口の中に飲み込み、軽く唇を噛みながらジッパーに手をかけ前を寛げていく。
下着をズラすと同時に押さえつけられていたペニスがザンザスの眼前に弾け出た。
先端は既に先走りの蜜を零し始めており、心なしかビクビクと震えている。
腹に沿うようにいきり立つペニスと羞恥に赤らむ頬を見比べてニヤニヤ笑うザンザスからプイと顔を背けると、スクアーロは半ばヤケクソで言い捨てた。
「フ、フルチャージだぁ…」
「そうか、そんだけ溜まってるなら出し惜しみしてもしょうがねぇ…必殺技を有効活用するのもテクニックの一つだよな?」
言いながらザンザスは携帯ゲーム機から付属の細いペン型のコントローラーを抜き取ると、その丸みを帯びた先端で今か今かと刺激を待ち望んでいる細身で長いペニスの側面を一突きした。
「い゛っ…お、おまっ、何しやがっ…」
「何だぁ? 反応ねぇな。壊れてんのか?」
「う、あ…はぁっ、バカ、止めっ…」
ツン、ツン、ツン、ツン、とペン先がペニスのあちこちを刺激し、ツボをつかれるような痛気持ち良さにスクアーロは切なげな声を漏らす。
「ああ、そうか。必殺技によってはタッチした後追加入力が必要なものもあったか」
スクアーロの反応に気をよくしたザンザスは更なる刺激を与えるべく、ペンでペニスを突付きながらまた片手でパラパラと説明書を捲った。
「あ゛…何、を…?」
不安に襲われながら視線を向けると、ザンザスはいやらしげな笑いを口元に浮かべてチラ、とスクアーロに視線を送り、張り詰めたペニスに浮き出た血管をそっとなぞるようにペンを走らせた。
「はぁぁぁっ…」
少し痛いくらいの刺激から一転して、優しく愛でるような愛撫を施され、スクアーロは目を潤ませながら深く溜息をつく。
触れるか触れないかの絶妙なタッチでペン先がゆっくりと血管の上を滑動する。
いつも乱暴な愛撫を与えてくるザンザスの手付きとは思えないほどその動きは緩やかで、この心地よさをより深く感じようとスクアーロはうっとりとした気分のまま目を閉じた。
いつもならスクアーロが幸せを感じているこのタイミングで一気に突き落とすザンザスだったが、今は敢えて何も言わず黙々と愛撫を続けている。
しばらくして、何本かの太い血管の上を上下に往復していたペン先が先端に向かってス、ス、スと動いた。
今度は鉛筆で文字を書くくらいの強さで雁首のラインをなぞっていく。
「ふ…ぅん…あ゛、あぁ…」
指とはまた違った細やかな動きが痒いところに手が届くようで、スクアーロはすっかりペン先での愛撫の虜になっていた。
先端に溜まっていた蜜は奥から溢れてくる新たな蜜に押し出され、根元まで滴り落ちて天を仰ぐペニス全身をぬらめかせる。
「本当にテメーは淫乱だな。ただペンでなぞってるだけだってのに」
「だ、だってよぉ…く、んっ…あ、それっ! い、い゛いっ!」
雁首をなぞるだけでなく根元から先端までスライドさせる動きも加えると、ザンザスの膝の上で細身の体がビク、ビク、と何度も跳ねる。
「こんだけやってんのにちっとも技が発動しやしねぇ…マジで壊れてんじゃねぇのか?」
性に合わない細やかな愛撫に飽きと苛立ちを感じてきたのか、ザンザスはスクアーロの先端の裏筋にペン先を押し当て、グリグリとこじり始めた。
「壊れてる…ンッ…ワケじゃねぇ…ゔぅ…それじゃ、ダメなんだぁ…」
(フィニッシュはこいつのじゃねぇと…こいつの、怒りの炎みてぇなブツじゃねぇと、オレは気ぃ、やれねぇ!!)
生半可なセックスでは満足出来なくなってしまった体の奥に渦巻く熱を感じながら、スクアーロはペンを握るザンザスの手に自分の手を重ねてその動きを止める。
「オレの気ぃやらせたいなら、こんなペンじゃダメなんだぁ。お前のその…極太のペンで突いてくれぇ!」
普段は反抗的な態度で、ベッドの上でも悪態をついてばかりで可愛げのないスクアーロが今日は何故かスイッチが入ってしまったのか、自分の欲望を素直に口にしながら躙り寄ってきた。
「なぁ、ザンザス…頼むぅ…もう我慢出来ねぇよぉ…」
甘い響きを唇に乗せ、生身の右手と義手の左手で待ちきれなさそうにザンザスの昂りを撫で上げながらしおらしくおねだりしてくる。
「……このドカスが!」
「ゔっ!」
そんなスクアーロに不覚にもグッとキてしまったのを隠すように、ザンザスは自分の額をスクアーロの額に強く打ちつけた。
「なぁ…くれよぉ…お前のスゲェ一撃でオレをイかせてくれよぉ」
頭突きを食らい一瞬顔を顰めるも、額をくっつけたままスクアーロはめげずに懇願してくる。
頬に、鼻に、スクアーロが吐き出す荒い吐息がかかり、それがザンザスの体の奥の熱を激しく燃え立たせた。
額をピタリとくっつけたままザンザスは噛み付くようにキスをすると、薄く開かれた唇にヌル、と舌を滑り込ませスクアーロのソレを絡め取る。
「ん゛…ふ、んん゛っ」
応えるようにスクアーロもザンザスの舌に自分の舌を擦り合わせ、アルコールをほのかに感じる唾液を味わった。
強弱をつけ、ちゅく、ちゅっと音が立つほどに激しく舌を吸い合う。
絡め合った舌を互いの口内に行き来させながら鼻の先端もスリスリと擦り合わせると、時折スクアーロが甘えるように小さく鼻を鳴らした。
少し強めに舌を何度か吸い上げ、最後に軽く歯を立てて唇を離すと、まだ足りないのかザンザスの唇を追うようにスクアーロの頭が動く。
ザンザスは迫ってくるその頭の後ろに手を回すと一房髪を掴んで引き離し、口を開き舌を出してキスの続きを求めるスクアーロの鼻の頭をカプ、と噛んだ。
「ザンザス…」
「ケツ、浮かせろ。ブチ込まれてぇんだろ?」
「あ…あぁ…!!」
ザンザスの一言で、物欲しそうな顔が一転して蕩けるような笑みに変わる。
スクアーロは言われた通り腰を浮かすと性急に下着ごとパンツを膝辺りまで摺り下げ、手を後ろに回してグッと双丘を開き、その奥のセピア色の窄まりを外気に曝け出す。
「ここ…ここだぁ、ザンザス。早く…」
待ちきれないのか、指をちゅぱちゅぱとしゃぶり唾液で濡らすと、自ら蕾を解しながらザンザスを急かした。
「そう急くな…このド淫乱が」
ザンザスはスクアーロの痴態を見つめながら前を寛げると、見せつけるようにペニスを晒す。
ソレはスクアーロより長さは少々劣るものの直径は一回り太く、禍々しいほどの赤黒さが『怒張』と呼ぶに相応しかった。
スクアーロの腰を抱き寄せ、ヒクヒクと収縮を繰り返す窄まりにそのエラの張った先端を当てがい、ズブズブと中に埋め込んでいく。
「あっ…あ゛あぁぁぁーー!!」
蕾が解しきれておらず、ペニスがめり込んでいくごとに裂けるような痛みが生じたが、それでもザンザスを求めて止まないのかスクアーロの中はその怒張を奥へ奥へと飲み込んでいった。
根元までしっかり中に収めると、ザンザスは間髪入れずに快感に打ち震える体を突き上げ始めた。
「ひぁ…あ゛っ、く…んんんっ!」
上下に揺さぶられながらだらしなく口を開け、快感に染まった声をあげる。
腰は無意識のうちに上下左右に動き、全身でザンザスを求めていた。
「自分から腰振ってんじゃねぇよ、カス」
そう言いながらもスクアーロが快楽に溺れていく姿は悪くないようで、その痴態に満足気に笑うとズン! と一際大きく突き上げる。
「グ! くぅ…だ、だってよぉ、体が勝手に…はっ…あぁ…動いちまう…自分でも止められねぇんだぁ」
腰を小さく揺らしながら、機嫌を伺うようにジッと見つめてくる。
「なら自分で動け。オレが動かなくてもテメーの体が勝手に動いてくれんだろ?」
「そ、そんなぁ…お前も動いてくれよぉ…お前に突かれるのがいいんだぁ」
「仕方ねぇな…動かねぇ代わりに追加入力してやるよ」
「え゛…?」
ザンザスは傍らに落ちていたペンを拾い上げると、透明の涙を流すペニスの先端の裏筋を円を描くように弄り始めた。
「だからっ…そのペンより、お前のペンの方が…あ、あ゛ぁ…」
イイ部分をピンポイントで責められ、スクアーロの全身がブルブルブルッと震える。
だが、先端をソフトなタッチで刺激する無機質なペンよりも、全身を貫く溶岩のようなザンザスの生身のペンでメチャクチャにされたいと望むスクアーロは強請るように腰を揺らした。
それでもザンザスは手を止める事なくペン先を先端の切れ込みへと滑らせる。
「こんだけやってんのになかなかしぶといな…詰まってんじゃねぇか?」
ペンでスクアーロのペニスを弄っているうちによからぬ企みを思いついたのか、凶悪なまでの笑みを浮かべると透明の涙がとめどなく溢れるその小さな穴につぷ、とペン先を挿し込んだ。
「ひぃぃぃっ!! お、おまっ…何て事しやがるっ!」
「尿道ファックってのがあんだから気持ちいいんじゃねーの?」
ほんの数ミリとはいえ、尿道にペンを挿されて激しく動揺するスクアーロに、ザンザスは涼しい顔で言い放ちペン先の挿し入れを繰り返す。
「い゛、嫌だぁ! それは止めてくれぇ!!」
今はまだほんの先端部分だけをつぷつぷと挿し入れされているだけだが、そのうちペンをずっと奥まで挿れられてしまうのではないかと、恐怖におののいたスクアーロは涙目になって泣き言を漏らした。
「嫌? なら何でテメーのソレは勃ったままなんだ? このマゾ鮫、本当は尿道でも感じてんだろ」
異物への恐怖を感じつつも一度火がついた体はすぐには治まらないのか、スクアーロのペニスは尿道責めを受けている間も変わらず勃起していた。
ザンザスはそれを勘違いしているのか、どこか嬉しそうにペン先で尿道を責め立ててくる。
「違…ホントに嫌だぁ…鼻に北京ダックも、耳に天丼のエビもまだ耐えられたが、こんなのは…弱虫と罵られても嫌だぁっ…」
せめて視界だけでも責めから逃れようと、スクアーロはギュッと目を閉じ後ろの窄まりからの快楽だけに意識を集中させた。
窄まりは痛いほどにザンザスの怒張を締めつけ、本当にスクアーロが恐怖を感じている事を示していた。
本気で怖がられると却って面白くないのか、尿道を責めるザンザスの手が緩む。
「なぁ…お前のペンでオレの尻の奥のいいトコ、突いてくれよぉ。その方が、ずっとイイんだぁ」
「…ここか?」
ペンが奥に入っていかないように押さえながら、ザンザスは懇願通りにスクアーロが一番悦ぶ場所を狙って突き上げる。
「うぁっ…ソ、ソコだぁ! ソコをもっと!!」
「しょうがねぇな…まぁ、トドメはオレが直接刺してやらねぇと、お前に負けを認めさせらんねぇからな。ほら、コイツでさっさとイッちまえ!」
素直に引くのは嫌なのか、軽く栓をするようにペン先を切れ込みに挿したままザンザスは腰を揺らし始めた。
どこがいいかは知り尽くしていたが、ワザと別の部分を突いたり、その一点の周辺をエラで引っ掻くようにしてジワジワと責めていく。
「あ゛ぁっ…そうだぁ! もっと抉ってくれぇ!!」
尿道に挿されたままのペンは気になったが、怒張での責めが再開され、スクアーロは悦びの声をあげながら自らもイイ部分に当たるように腰をくねらせる。
始めは三回に二回ワザと外していたザンザスの先端が、時間が経つにつれて三回に一回になり、最後はピンポイントでイイ部分をズン、ズンと突き立ててくる。
「お前の極太ペンがっ…ハッ、あ…んんんっ! オレのイイところ、突いてきやがるっ!! このまま突かれたら、もう…ゔぁ、ああっ…」
「イケよ、カス」
「ん゛っ…あ、あ、あ゛っ、い゛くっ! い゛ぐぅっっっ!! ん゛あああぁぁぁっ!!」
冷静なように聞こえるが、その実限界までに熱の篭った吐息混じりの声で囁かれ、弾かれたように体を弓形に仰け反らせてスクアーロは達した。
ザンザスの手が緩んでいたのか、スクアーロの射精と同時に尿道に挿されていたペンが白い吐液に押し出され、床に落ちる。
「くぅ…! ぐ…ん、んんっ…」
ペンには気にも留めず細い腰をしっかりと掴むと、ザンザスもまた白いマグマをスクアーロの最奥に向けて何度も解き放った。
「おおぁ…あ、あぁっ…」
体の奥にザンザスの熱を感じ、口の端から垂れる涎も気にせず悦喜の声を漏らすスクアーロの体がふらぁっと後ろに倒れる。
「おっと」
すんでのところで倒れいく背に手を回すと、ザンザスはそのままスクアーロの体を自分の方へ強く抱き寄せ、耳元で囁いた。
「CONTINUE?」
「……………YES」
息も絶え絶えになりながら、何とか声を絞り出して答える。
「なら次はアーケードモード、難易度は『むずかしい』だ。全10ステージ、耐え切ってみせろカス」
「はぁぁ…!!」
耳朶をガリ、と噛まれ、スクアーロの体がふるふると震える。
期待と不安に胸を膨らませながら、スクアーロは返事の代わりにザンザスにギュッとしがみつき、その肩に顔を埋めた。